第２回　小浜ポイントレースレポート
~Kaya）赤石艇長がクルーに宛てたメールより〜

第２戦、得意のスピンで疾走のKAYA

　皆さん，今晩は。本日は小雨模様でしたが，前回優勝のサバは、新兵器、スピンポールとグリーンのスピンネーカーを装備して，前日，ミスティの高橋さんを顧問に練習に励み，ポンツーンに泊めて待機するなど，連勝に向けてなみなみならぬ決意と見られました。これに対して，あっさり勝ちを新参者に渡すは団の面目丸つぶれとばかりに，出れば勝ちのティキティキ，インテリジェンスの最も高そうなミスティ、小さいながら速いNOKO，初心者９人を乗せてはち切れんばかりの悠愛丸など，そうそうたる面々が参戦しました。
　ところで，我がKAYAは、考えてみると，昨年メイストームで全く偶然棚ぼた勝利を収めたメンバーで戦うことになりました。このうち，最強のバウマン，金さんは，この日新調した夏用オイルスキンに身を包み，親潮レースの前哨戦を強調し，鳩が豆鉄砲を食らったような顔のピットマン早坂さんとメイントリマー山崎さんを尻目にやけに張り切っているのに、何となく胸騒ぎのする艇長の私でした。
　第１戦，スタートからやや離れたところでうろうろして，いざ行こうと思ったら，風上の艇団にすっかり風をブロックされ，出遅れたKAYAでしたが、ティキティキと抜きつ抜かれつ上マークへ接近し，回航のためのラインに到達して，ミスティ，ティキティキよりマークから遠いのですが，いつものセット時間を考えると，まあこんなものかなと思っていました。いち早くバウデッキへ飛び出して行った金さんでしたが，ポールが常に無くあっという間にセットされたかと思うと，次の瞬間スピンがするすると上がってゆくではありませんか。これに驚かなかったのはおそらく悠愛丸の石塚さんを除く９人の乗員だけだったろうと思います。
　まるで着陸したスペースシャトルのように，はたまたスピード記録を達成したあとのロケットカーのように，パラシュートブレーキをかけたようになったKAYAの船上は大パニックに陥ったのです。「ハヤサカー、スピン捕まえろー。」「え〜？」「いいから捕まえてできるだけ細くして引っ張ってろー。艇が止まっちまった〜。」マークはずっと向こうです。この格好でどうやってマークまで到達したのかよくおぼえておりません。一度降ろしたスピンから，ウインチハンドルが出てきたりしたことをおもえば、どれだけ周章狼狽したかご想像いただけると思います。
　金さんの述懐によれば、なにしろビデオによるイメージトレーニングは完璧で、タックしてポール上げて直ちにマーク回航のイメージは頭の中で出来上がっており，気分はアメリカズカップだったようです。ミスティの高橋さんは「妄想」の一言で片付けておりましたが私も医学的に正しい用語だと思います。
　さて気を取り直して第２戦，おーし今度は上りの最終タックはマークのごく近くだーといって、スタートはどんぴしゃ。しかし折から全くの無風となってしまい，コースの短縮に継ぐ短縮で，上りの１レグだけとなって，スピンを上げるチャンスはありませんでした。不思議なのは，無風になると走り出すKAYAという船の構造です。上り１レグだけで，２位の船に６分の差をつけて優勝してしまいました。
　ま，ともかく夢のようなひとときでしたが，収穫が無かった訳ではありません。考えようによっては、スピンセットが驚くほど速くできるようになっているということ，ピットマンの早坂君は，ハリヤードの上げ下げ，ジブシートの取り回しで忙しいけれど確実にこなせるようになってきています。スタート前にすでに船酔いでキャビンで寝込む頃と比べると，別人のようです。山崎さんも、鮎川に行ったときから、才能あるあると思っていたのは過去にレポートしましたが、メインセイルのバテンリボンをいろんな状況で４本きれいに流すトリムをができるのです。あとは、私やピットマンと，アウトホールやバックステイの調節を話し合えるようになれば良いのです。気仙沼は期待できます。

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赤石　隆
KAYA(ツボイ1030)

2006.06.24