皆さんおばんでございます。イヤー面白かったですね。今回はKAYAからみたかほくレースをレポートします。
今回のレースの目玉は何と言ってもバロネッサの参加でしょうね。何しろKAZIにも載ってる全日本ミドルボート選手権のチャンピォン艇ですからね。でもサインをもらうこともできないほどKAYAはスタートギリギリに会場に着いたのでした。もうこのままいけ〜。でもスタートブイの方にラインをなめて行ったら，あれはベイシュに下から追い出されたんでしょうかね。スタートラインを越えちゃって，ブイを回ってポートタックで出直しました。
次々とスターボードタックの艇団がやってきます。先頭は戦艦「銀河」。次にアセーナ。その次に少し離れてあのバロネッサ。ここでKAYAは、恐れ多くもバロちゃんにリーバウタックをかましたのです。悪い風が行ってるはずなのに、バロネッサはその青く美しい船体を輝かせながら委細構わずKAYAに迫ってきます。「大丈夫だ。バロは絶対こっちを抜けないぞ〜」と私はクルーに怒鳴ります。何でこんなに強気なのかというと，当日の朝，神様が，ミドルボート選手権覇者のクルー二人をKAYAに下さったからなのです。神坂さんと高橋祐一さんは、雨だと信じたミスティに敢えなくキャンセルされ，桟橋の一番近くに泊まっていたKAYAに乗ってくれたのでした。心の狭い私には，奥に３人しか乗っていないベイシュベルが居ることを打ち明ける勇気がなかったのです。森田さん、ごめんなさい。
話を戻します。さんざん競ったあげく，ついにバロネッサはタックをして行ってしまいました。我々もすぐタックを返してレース海面に戻ります。しばらく一心にやっていたら，なんとKAYAがトップを走っているではありませんか。夢にまで見たトップでマーク回航が目の前です。私や金さんが動揺したのも無理はありません。ここで神坂さんが，運命の指示を出したのです。「マークを十分に回って下ってからスピンを揚げましょう。」私にはバウに居る金さんの「え？え？え？」という表情がわかりました。先頃レポートしたようにマーク回航の前に上げたことはあっても，回ってからゆっくりと上げたことなどなかった我々ですから、全日本級の指示に頭の中がまっしろけになった訳です。
果たしてマークを回ってから，スピンの上がらない時間が過ぎてゆきました。デッキ上は前も後ろも必死です。残念ながら，途中まで上がってもじゃくれたスピンを降ろさざるを得ませんでした。でも、下マークまではまだトップだったのです。銀河はあのオレンジのどでかいスピンを上げ，ベイシュベルは，３人ですから，観音開きでいい位置に付けていました。バロネッサは初めはスピンを揚げていたのですが，なぜか途中で我々につきあって降ろしてしまいました。小細工は止めだ！みたいなことだったのでしょうか？
「ともかくトップはトップだ。マーク回航。のぼれ〜。」ところが，回ってみると，上の真横にあの，「銀河」がいたのです。あとで聞けば，レグごとにヘルムを交代してたというのですが，見事な操船というしかありません。否応なくブランケットに入れられたKAYAは遅れだしました。このレグは銀河，KAYA、バロネッサ、ベイシュベル、そしてアセーナのくんずほぐれつの大熱戦となったのです。ミートするたびに前を切ったり切られたり。ある時，銀河を上手少し後方にとらえ，これで悪い風が行って，こっちの勝ちだと思ったのですが，質量の飛び抜けた銀河は惰性走行であっさりKAYAを抜き去り，逆にブランケットに置いてしまったのです。
セオリーもヘチマもあったものではない。上マークは銀河が他を引き離してトップで回り，他は団子だったように思います。スピンの上がった銀河は次のレグでは他の艇を引き離しました。先を行く銀河が，マークを回ってメインセイルだけになったのを見たとき，「あれ，レースが終わったのかな。」と思ってしまいました。しかし，これは我々の集中力を切らす心理作戦だったようで，我々が下マークを回るとき，コミッティーが「あと１往復で終わりですよ。」と教えてくれたのでした。そこでまた大バトル。でも、元気だったのはアセーナです。ミートするたびに，幌馬車を襲撃するインディアンみたいな声が聞こえ、レー ティングの差があるのに同じ場所で競っている喜びを表しているものと解釈されました。（編者記：正解です）
最終マークでも殆ど団子。しかし，こっちがぎりぎりなのにアセーナは下を走っているので「あいつはもうワンいやツータック要るぞ。行けー。」と肉薄したのですが，しまった。近づきすぎたので，悪い風を食らってしまったのです。低速が落ちた所へ，何とバロネッサが割り込んできて，ますます低速が落ちてしまい，ほぼ停止してしまい、マークを回れなくなってしまったのです。「うわー、マークタッチするぞ。エーイ。ジャイブで回り直しだ。」まるで反則を犯したみたいに自主的ペナルティーをやっている所へ、ベイシュベルが突っ込んできてまたKAYAの下を抜いて行ってしまいました。
もう最終レグはへろへろでよたよたとフィニッシュしました。他の艇もたくさん居たのですが，とても気を配る余裕もありませんでした。
ファーストホームの銀河はぶっちぎりの優勝だったのでしょう？アセーナが逆転したのかな。ともかくすばらしい走りに敬意を表します。
親潮レースではこんなバトルがレースの間中続いてほしいですね。みなさんまたよろしくお願いします。
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赤石 隆
KAYA(ツボイ1030)
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